ゴールデンカムイの第七師団は実在の師団。史実に基づく驚きの背景

ゴールデンカムイで描かれる「第七師団」は、作品の中でも特に注目される軍隊です。その背景には実際の史実があり、明治時代の日本陸軍に大きな役割を果たした部隊でもあります。

本記事では、第七師団の設立からその目的、ゴールデンカムイで描かれるキャラクターの紹介、さらに史実に基づく背景を掘り下げていきます。歴史とフィクションの融合を知ることで、作品の理解がさらに深まることでしょう。

目次

そもそも師団て何?軍や旅団との違い

軍隊の編成にはいくつかの単位がありますが、その中でも「師団」は最も基本的な戦闘単位です。他にも「軍」「旅団」「団」などがありますが、それぞれの規模や役割には違いがあります。

軍は、数万~数十万規模の大規模な編成で、複数の師団を統括します。国全体の防衛や大規模な戦争に対応するために編成されることが多く、非常に広範な戦略を担います。

師団

師団は約10,000~20,000人の規模を持つ部隊で、歩兵や砲兵、補給部隊などが統合され、独立して作戦を遂行できます。通常、複数の大隊や連隊で構成され、幅広い戦術に対応可能な部隊です。

旅団

旅団は約3,000~5,000人の部隊で、師団より小規模ですが、特定の任務に迅速に対応できる機動力を持っています。数個の大隊で構成され、独立した行動が可能な場合もありますが、主に師団の一部として機能します。

団は約2,000~4,000人規模の部隊で、歩兵や砲兵など特定の兵科に特化しています。団は独立して行動することは少なく、旅団や師団の一部として機能することが多いです。

第七師団とは?北鎮部隊といわれた所以

第七師団の設立とその目的

第七師団は「北鎮部隊」として知られていますが、その所以は、北海道を拠点に防衛活動を行っていたことに由来します。

1896年(明治29年)に日本陸軍が設立した軍隊で、北海道を拠点とする常備軍です。当時の日本は、日清戦争の勝利を機に国際的な地位を高める中で、さらに国防を強化する必要がありました。

特に、北海道はロシアに近接しており、ロシア帝国の南下政策に対抗するための重要な防衛拠点と位置づけられていました。そのため、北海道の守備を担当する部隊として第七師団が設置され、地理的な防衛の要となったのです。

第七師団の地理的背景と戦略的役割

第七師団の設立背景には、北海道という地理的条件が大きく関係しています。北海道はその寒冷な気候や広大な土地から、戦略的に非常に重要な地域とされました。また、北方のロシアとの国境に接していることから、防衛面での脆弱性もありました。

こうした背景により、北海道に常駐する軍隊が必要とされ、第七師団はこの地域の守護者として位置づけられました。彼らの役割は、単なる防衛にとどまらず、北海道の開拓や住民の保護など多岐にわたっていました。

第七師団の実績と国防への貢献

設立後、第七師団は数々の軍事行動に参加し、特に日露戦争での活躍が知られています。彼らは東北地方から北海道までの防衛を担い、日露戦争ではロシア軍との激戦を経験しました。その戦闘能力は高く評価され、北海道の防衛のみならず、後の戦争にも積極的に参加し、日本の国防に大きく貢献しました。

日露戦争における第七師団の役割と戦績

日露戦争での第七師団の配置

第七師団は、日露戦争(1904-1905年)で重要な役割を果たしました。特に、旅順攻囲戦と奉天会戦という二つの大規模戦闘に参加しました。

旅順攻囲戦では、ロシア軍の要塞に対する攻撃の一翼を担い、激しい戦闘を繰り広げました。奉天会戦では、満州における最後の決戦として日本軍がロシア軍と戦い、第七師団は重要な作戦遂行を担いました。

第七師団の戦闘力と貢献

第七師団は、北海道の厳しい自然環境で訓練されたことで、その高い戦闘力を発揮しました。

特に、持久戦に強いことや寒冷地での行動に慣れていたことが、他の部隊との差別化ポイントとなり、日露戦争において日本の勝利に大きく貢献しました。戦後、この戦功は高く評価され、北海道防衛の要としてその地位が確立されます。

旅順攻囲戦での活躍

旅順攻囲戦は、日露戦争の中でも特に長期にわたる消耗戦として知られています。

第七師団は、ロシア軍の要塞に対する攻撃を支援し、多大な犠牲を払いながらも要塞の攻略に貢献しました。この戦いは、第七師団の兵士たちの忍耐力と、厳しい戦況下での粘り強さを象徴しています。

奉天会戦での決定的な役割

奉天会戦は日露戦争の最終局面で行われた大規模な戦いであり、第七師団はこの戦いで重要な任務を遂行しました。

満州での寒さと激しい戦闘の中、他の師団と連携してロシア軍を押し返すことに成功しました。この戦いの勝利は、日露戦争の最終的な日本の勝利に大きく寄与しています。

第七師団の解体と再編:終戦後の運命

戦後の第七師団の解体

日露戦争後、第七師団は一時的に戦闘から離れますが、その後も日本の北方防衛において重要な役割を担い続けました。

しかし、太平洋戦争末期の敗戦を受けて、日本軍全体が再編成された際、他の部隊と同様に第七師団も解体されます。戦後の非軍事化政策により、日本陸軍の全組織が解散されたため、第七師団も歴史的な役割を終えることとなりました。

北海道の防衛を担う部隊として再編

第二次世界大戦後、日本の軍事力は大幅に制限されましたが、1950年に自衛隊が発足します。

その際、北海道を防衛するための新しい部隊として、第七師団の名称が再び使用されることになりました。この新たな第七師団は、北海道の広大な土地と国境防衛を重視し、冷戦期の防衛戦略に組み込まれました。

新しい第七師団の役割

戦後に再編された第七師団は、自衛隊の中で唯一の機甲師団となり、最新の戦車や装備を用いて北海道の防衛任務に従事しています。

冷戦時代には、ソビエト連邦からの脅威を想定して強化されました。現代においても、日本の防衛戦略において重要な役割を果たしており、訓練や防衛準備が続けられています。

終戦後の第七師団の影響

第七師団の再編は、戦後の日本の防衛力再建における象徴的な出来事です。日露戦争での伝統と誇りを受け継ぎながら、現在では北海道の防衛に特化した部隊として、地域と密接に関わっています。

ゴールデンカムイで描かれる第七師団のキャラクター紹介

さて、ここからは作中に登場する第七師団のメンバーを紹介していきます。

鶴見篤四郎(中尉)

鶴見中尉は第七師団の狂気のカリスマとして描かれる重要なキャラクターです。日露戦争で頭に重傷を負った後、頭蓋骨に鉄板を埋め込んでいるという特徴的な外見を持っています。

その怪我によって脳の一部が損傷したことからか、狂気に満ちた性格が現れるようになり、金塊を手に入れるために様々な策を巡らせます。鶴見中尉は第七師団の実質的なリーダーであり、冷徹で戦略的な思考を持ち、目的のためならば手段を選ばない冷酷さを持ち合わせています。

月島基(軍曹)

月島軍曹は、鶴見中尉の側近として行動し、鶴見の命令に忠実に従う軍人です。彼は常に冷静で的確な判断を下し、感情に流されることなく任務を遂行します。

しかし、鶴見中尉に対して忠誠を誓いながらも、時折その狂気に不安を覚えている様子も描かれています。月島は、鶴見中尉の狂気を知りながらも、その命令を遂行する姿勢が物語の中で複雑な人間性を感じさせるキャラクターです。

鯉登音之進(少尉)

鯉登少尉は、第七師団に所属する若い士官で、熱血漢として描かれています。彼は非常に正義感が強く、軍人としての誇りを持ちながらも、物語の中で度々コミカルなシーンを見せます。

父である鯉登平二と深い絆を持ち、その影響からか感情的になることも多いですが、その一途な性格と強い意思が仲間を奮い立たせます。鯉登少尉のキャラクターは、物語のシリアスな部分に時折ユーモアを与える存在です。

二階堂浩平・洋平(一等卒)

二階堂兄弟は、第七師団に所属する双子の兄弟で、特に兄である浩平は物語の序盤から最終盤まで活躍します。非常に攻撃的で好戦的な性格の浩平は杉元への復讐を果たすための執念は凄まじく、普段は従順な部下が制御できなくなるほどの狂気を見せます。

幾度となく杉元と対峙しますが、この2人の因縁は最後まで目が離せない。ちょっと雑魚キャラっぽく描かれていますが、けっこういい味出す名脇役です。

宇佐美時重(上等兵)

宇佐美上等兵は、鶴見中尉に強く忠誠を誓う部下の一人です。物語の中盤に登場する彼は、鶴見中尉に対して異常なほどの崇拝心を抱いており、その狂気じみた忠誠心が物語を通じて度々強調されます。

宇佐美のキャラクターは、その狂信的な性格と、時折見せる異常な行動は鶴見中尉のカリスマ性をより高めています。

尾形百之助(上等兵)

尾形百之助は、第七師団に所属する優秀な狙撃手です。物語の早々に第七師団を裏切り自身の目的を達するために、常に冷静沈着であり、感情をほとんど表に出しませんが、その内面には暗い感情を抱えています。

尾形は自身の野心と欲望のために、第七師団以外にも裏切り、策略を用います。彼のスナイパーとしての戦闘シーンは緊迫感があり、ゴールデンカムイの名シーンの一つに数えられるのではないでしょうか。物語の進行とともに、彼の暗い過去、バックグラウンドが徐々に明らかになっていきます。

谷垣源次郎(一等卒)

谷垣源次郎は、第七師団の軍人であり、ゴールデンカムイの物語の中で数多くの葛藤を抱えるキャラクターの一人です。彼は、物語の序盤では金塊を巡る争いに巻き込まれますが、次第にアシリパや杉元らと協力関係を築くようになります。

軍人として初登場しますが、杉元、アシリパ、フチ、二瓶鉄造、そしてインカラマッとの出会いによりマタギの谷垣へと戻っていきます。義理堅く責任感が強い人物であり、仲間を守るために戦い続ける姿が印象的です。

有坂成蔵(中将)

有坂成蔵は、日本陸軍の銃器開発者であり、作中では兵器技術の発展に貢献した人物です。彼は実在の歴史人物であり(有坂成章)、特に「有坂銃」として知られる銃を開発した功績を持っています。ゴールデンカムイでは、第七師団に最新の兵器を供給する重要な役割を担い、数少ない鶴見中尉の上官で『有坂閣下』と敬意を示す人物です。

なお、銃器開発の轟音の影響で耳が極度に遠い。

鯉登平二(少将)

鯉登平二は、鯉登音之進の父であり、海軍の少将です。彼は家族を大切にし、特に息子に対しては強い期待を寄せています。彼の厳格な軍人としての一面が音之進にも影響を与え、物語の中で父子関係を深く描かれるキャラクターです。彼の存在は、音之進の成長と葛藤を示す重要な要素となっています。

『もすっ!』が合言葉。

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